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子供礼賛社会の復活を! [書籍/漫画感想]

 

ネオテニー―新しい人間進化論

ネオテニー―新しい人間進化論

  • 作者: アシュレイ モンターギュ
  • 出版社/メーカー: どうぶつ社
  • 発売日: 1990/07
  • メディア: 単行本
断っておくが、私はすべての高齢者の方が非常識で乱暴になっているなどというつもりは毛頭ない。私の知り合いにも素晴らしい高齢者の方が何人かいらっしゃる。その方達は、控えめで、かと思うと時に子供の様に無邪気で初々しい面を持ち、人前で決して怒鳴ったりせず、決して奢らず、文学的・詩的表現に溢れた言葉使い、洗練された仕草、経験と年輪の深さが醸し出す、輝くような美と知性に満ちている。本日(10/19)の「徹子の部屋」ゲストの青木十良さんを見よ!91歳で現役チェリストだぞ!しかも常にその控えめな物腰と子供の様な笑顔、謙虚で決して奢らず1日3時間の練習は欠かさない、そしてなんと若々しく、肌もつやつやで、姿勢もシャンとし、喋りもしっかりしていて、とても91には見えない。あの様な”美しい年の重ね方”をしている人に私もなれたら良いなあ、と思うし、そういう人には、電車で席をバンバン譲ってあげたい!(でもそういう方たちは大抵一回、遠慮するんですよね、「いえすぐに降りますので大丈夫ですよ」なんて言って。う~ん謙虚だ。それに引き換え、電車のドアを背中で押さえて自慢している様な奴には絶対に席を譲らん!)。 ところが最近、石原都知事を代表とする、やたら言動が乱暴で恫喝的で、偉そうで、すぐキレる高齢者の方が急増している。ちょっと店員の態度が気にいらないと言って怒鳴り商品を床に叩き付けて壊したりする有様を私は良く見かける。彼らの苛立ちもわからないではない。かつて会社内等で高い地位を持ちガンガン人を偉そうに命令してた人達が定年になった途端、家では邪魔者扱いで社会でも居場所がない。おまけに世の中デジタル化・電子化が進んでやれ携帯だのインターネットだの自分たちがわからない世界が広がり、「そんなことも知らないんですか?」と青二才どもに馬鹿にされる始末。彼らは自分達だけが戦後の日本を復興してきたという強烈な自負による勘違いをしているだけに始末が悪い。実際は今日の日本を腐敗させているのも彼らなのにも係らずだ。しかも今、日本で最も金持ちで最も国を支配しているのは、この恫喝的な高齢者達だ。

 さて、この本は、結構古いものだが、人間は他の動物に比べて赤ん坊の時の形質を成人になっても多く残していること、人間の大人と類人猿の幼児が非常によく似ていること等から、人間は、幼い形のまま成長する生物として”幼形成熟(ネオテニー)”であるとする内容が書かれている。ネオテニーで有名なのはウーパールーパーの名称で親しまれる両生類アホロートルである。彼らは性成熟してもアルビノで鰓の付いた幼生形のまま一生を終える、しかし水位を下げたり、紫外線を当てると成体型(体色が黒くて肺呼吸)に変態することも知られている。 当書物では類似猿の幼児が顔が平たく顎が前方に突出せず、高等部も丸いことを上げて、その形態が人類に良く似ているのに、成体になると顎や歯が強大化し、前に突き出る反面、脳の大きさはそのままであるのに対し人間の成体と幼体では頭骨に大きな差はないことに着目し、人間は”幼形進化(ペドモルフォシス)”であり他の類人猿は成体進化(ジェロントモルフォシス)であると説く。さらに筆者は人間は大人に育つよう作られておらず、身体のみならず精神も幼児的特徴を保持し強調する方向で進化する生物だ、と説く。 確かに成型進化の生物は、周囲の環境に合わせて硬直した融通の効かない極端な進化を遂げた為に環境の激変に対応しきれず滅亡してしまった例が多い。代表的な例は恐竜だが、我々人類も過去にアウストラロピテクスからよりサバンナの草食に適した顎や矢状稜が発達したパラントロプスへと進化した者がいたが、結果、環境変化や生存競争に勝てずに絶滅し、一方でよりネオテニー的な進化へと進んだホモ・ハビリスが生き残り我々人類へと受け継がれた。今日の類人猿を見るとオラウータンにしろゴリラにしろボノボにしろ全て絶滅寸前であるが、それは人類の祖先が二足歩行を始めた500万年前(700万年前とも言われる)から既に気候が寒冷化し、ヒトを含めた大型類人猿の衰退は始まっていた。そこでより柔軟に環境変化に対応できるネオテニーが進化の形として選択されたのであろう。「悲しむべきことは殆どの大人は、成長するにつれ学習意欲が失われ、知識や理解を積極的に追求しようとしない。まるで20の頃までに全ての知識と方策を身に付けてしまったと信じ、わずかばかりの知識や知恵の蓄えを殻で覆うようになるそして何か新しいものによってこの殻が破られようとする時、莫大なエネルギーを使ってそれに抵抗する。大人の心的硬化症は、子供の受容力、柔軟性、心のひろさとは大違いである。」{「ネオテニー」より}まさにこれこそが、今の膠着した高齢化社会の腐敗した姿ではないだろうか。この社会では”想像力”や”好奇心”、”素直さ”、”正直”は時に馬鹿にされ、、時に不作法とされ、非難される。彼らはピーターパン症候群などと呼ばれ蔑まれる。  古代の日本及び、農村では近代に至るまで、子供は神様であった。生児をこの世にもたらす出産の行為は、あの世とこの世の中間領域であり、「六つ前は神のうち」という言葉もある様に、6歳までは魂も安定しないと考えられていた。鳥追いなど子供は常に祭祀の主役であった。小正月(1月15日)には、イミゴモリ(忌み籠り)という、祭りの為に日常的生活からヨゴレ・ケガレを取り除く行為から、子供たちが小屋を作った。セエノカミ(賽の神)といいドント焼き・左義長の変形で、煤払いの竹や正月の松飾を集めて小屋を作り、子供達が一晩過ごして、次の日小屋を焼き、小屋のご神体である男根の形をしたドウロクジン(どうじん棒)を部落間で取り合う。また2月上旬の初午には稲荷講といってやはり子供たちが丸太を組んで筵を掛けた小屋を作り煮炊きをして泊まる。子供はナマハゲや節分の鬼と同様、世界に共通する、年の変わり目に出現する異型の者(サンタクロースも元を正せばそうだろう)で、農耕を祝う神を表している。また子供たちが小屋から出る行動は、再生(誕生、豊饒)を表している。日本のあらゆる所で行われていたこうした祭りは、残念ながら火事や防犯の懸念から今では、本来の目的とは異なる文化財保護的な物を除いて、殆ど行われなくなってしまった。一方で、老人たちの支配は強まり、 「年寄りは尊敬されるべき存在であった。政府は白髪の男たちによって運営され、帝国の支配者-フランツ=ヨーゼフやビクトリア女王-はむしろその長命ゆえに尊敬された。世界を動かしていたのは老人たちであり、家族は再年長者の意志に従っていた。」{「ネオテニー」より}この見立ては現在の日本社会と殆ど変わっていないと見てよい。  最近の日本では少子化の悪影響で益々、社会を支配する高齢層たちは、自分達の社会的地位を守るために横暴になり、児童への悪辣な攻撃をしかけている。その象徴とされる事件が最近2つ起きた。1つが、「福岡中2自殺事件」あの校長の事勿れ主義、隠蔽体質を象徴する言動はどうだ。「いじめはなかった」→「担任によるいじめがあった」→「いじめを自殺に結びつけるのは危険」→「ちょっと手を抜いてしまいました。プレッシャーを与えていたかもしれない」と発言はその場しのぎで二転三転し、そのどれも自分の校長という地位を守るためで誠意・謝罪・反省の意志は全く認められない。彼らにとって大切なのは子供の命ではなく、自分の社会的地位でありそれに伴う金である。  もう一つが「奈良妊婦死亡事件」である。脳内出血を起こしていた妊婦を18箇所以上も病院は受け入れ拒否にした挙句、死亡させたこの事件。大淀病院の内科医はなんと言ったか「陣痛からくる痙攣と思った」 陣痛ならたらい回しにしてもいいのか!?これは産婦人科の設備・医師の決定的な不足が露呈した事件である。なんだかんだ言っても医者は今や客商売であり、患者の少ない産婦人科や小児科を作るよりも老人向け病院を作った方が儲かるからであり、結果、小児科、産婦人科はどんどん無くなり、子供を生むのが益々困難、命懸けとなり、益々少子化が進むという悪循環に陥っている。医師会から多額の献金を貰う政府はこれに対し何ら具体策を打ち出せず、少子化を母親個人の意欲不足のせいにして、託児所・保育園の整備・育児休暇など表向き女性の働き安い職場を作るというトンチンカンな政策をしているが、これらは企業において殆ど機能しておらず、まして産婦人科・小児科の減少にはなんら有効な政策を行っていない。これでは安心して出産・子育てなどできるわけがないのだ。近頃の女性に聞くと出産はとても恐くてできないという。この事件はそんな風潮を益々助長することになるだろう。 「もしネオテニーが身体的特徴だけに留まらず行動パターンにも伝えられるとしたらまさに人類の生活革命が可能となる。そして期待される姿の生物、すなわち一生を通じて若々しい生物になりうるだろう」{「ネオテニー」より}我々はもういい加減硬直した老人どもを崇拝するのはやめて、かつての日本人がそうした様に、もっと子供を尊重し、子供に畏敬の念を持ち、子供に感謝して生きるべきではないか!子供が安心して遊ぶことのできる、存在できる居場所を増やしていくべきではないか!残念ながら、今の社会は、将来への不安による「弱い者苛め」という卑怯な感情から益々、子供の居場所を奪い、社会から廃絶しようとしている様に見える。それは人間の本来の進化の道筋から外れ、滅亡の道へとひた走ることになろう。
日本民俗学概論

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 吉川弘文館
  • 発売日: 1983/01
  • メディア: 単行本
人間性の進化―700万年の軌跡をたどる

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞社出版局
  • 発売日: 2005/11
  • メディア: 大型本

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